採択されやすい小規模事業者持続化補助金計画書の書き方
どうも、中卒中小企業診断士のキタです。
今回は経営指導の仕事での中でも特に質問の多い、小規模事業者持続化補助金の計画書の書き方について説明していきます。
今回の記事は、補助金の説明書のようなものになる公募要領は読んでいるという前提で進めていきますので、分からないことは公募要領等でご確認ください。
小規模事業者持続化補助金は基本的に商工会議所または商工会の助言等を受けて経営計画を作成するものとなっています。
地区や時期によっては、専門家の無料相談などの制度もありますので、まずは商工会議所・商工会に相談に行かれることをオススメします。
採択されやすい計画とは?
採択されやすい計画は公募要領の審査の観点を見ていただければわかるのですが、ざっくりというと。
今回の補助金を使う取組が自社の課題を解決するものになっており、なおかつ自社の強みを活かして市場を捉える内容になっているかどうかです。
上記を満たしていない計画だと、いくら見栄えの良い計画書を作ったとしても不採択となる可能性が高くなります。
また勘違いされやすい部分なのですが、給付金などとは違って、多くの補助金は基本的に経営悪化で困っている人を助けることを主にしたものではありません。
そのため計画書内で、困っていることを沢山アピールすれば助けてもらえるというものではないのでご注意ください。
補助金はビジネスコンテストのようなイメージのものが多く、魅力的なビジネスを応援するものと理解していただければと思います。
計画書を書いてみよう
初めて計画書を書くという方は申請書をダウンロードするページから記載例を見ることが出来ますので、そちらをご覧ください。
記載例は計画書に記載するべきポイントを一通り抑えた内容になっていますので、まずはこれを参考にして計画書を書いてみるのがおすすめです。
ただし記載例の内容を自社に置き換えただけの計画書だと採択されることは難しいため、最初は簡単に記載項目を埋めるだけで大丈夫です。
採択される計画書にするには、そこから計画書をブラッシュアップ(磨き上げ)していきます。
計画書をブラッシュアップしよう。
記載例を基に計画書を作成したら、次は計画書のブラッシュアップを行っていきます。
ブラッシュアップは以下のことに気を付けて行っていきます。
分かりやすい記載を心掛ける
まず知っておいて欲しいことは、計画書は審査員が読んで審査をするのですが、一人の審査員が非常に多くの計画書を審査します。
そのため審査員は一つの計画書に審査に使える時間は多くありません。
短い時間で審査を行うため、書いた計画書の中身が複雑だと審査員に理解してもらえず良い評価をもらえない可能性が高まります。
また審査員は経営の理論については専門的な知見を持ち合わせていますが、業界ならではの専門的な知識は持ち合わせていない可能性が高いです。
そのため、あまり専門用語を使いすぎると理解してもらえない可能性が高まってしまいます。
このことから、計画書はそれぞれの業界の素人が読んでも理解できる、分かりやすい内容にする必要があることが分かっていただけるかと思います。
分かりやすい計画書にするには
⑴写真者・グラフ・図等を載せる
⑵見出しを付けて言いたいことをまとめる
⑴写真者・グラフ・図等を載せる
記載例では少しの表が使われているだけですが、持続化補助金の計画書は写真やグラフの記載が認められています。
店舗や経営者、商品・サービスの説明をする場合は写真を載せることでイメージがしやすくなるでしょう。
また市場動向などは、折れ線グラフや円グラフなどで見せれば視覚的に伝わりやすくできるはずです。
⑵見出しを付けて言いたいことをまとめる
初めて計画書を書かれる方に多いのですが、計画書の文章が長文になる方がおられます。
長文は読み物としては良いのですが、時間をあまり取ってもらえない審査に出す計画書では読み飛ばされてしまうリスクが高いため好ましくありません。
見出しを付けて簡潔にまとめていくことが分かりやすい計画書を作成する上では重要です。
例えば2.顧客ニーズと市場の動向に見出しを付けていく場合は以下のようなイメージです。
2.顧客ニーズと市場の動向
【顧客ニーズ】
①○○業界に求められているニーズについて
○○業界のニーズとしては~
②○○のニーズについて
当社が新たに行う○○は~
【市場の動向】
①○○市場の動向
当社が属する○○市場は~
②他社との競合状況について
当社の位置する○○には~
<経営計画>の見出し例
ここでは持続化補助金の計画書の<経営計画>でよく使われる見出し例を紹介します。
1.企業概要・事業概要
・当社の沿革
・当社の経営理念
・当社の商品・サービスについて
・当社の顧客について
・当店の立地
・売上構成について
・当社の業績推移・財務状況について
2.顧客ニーズと市場の動向
・○○業界に求められているニーズについて
・顧客からの引き合い状況
・新商品・サービス○○のニーズについて
・お客様の声
・市場機会について
・○○業界の市場動向
・競合他社について
・新商品・サービス○○の市場規模の推移
3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み
・当社の技術力
・当社のサービス品質
・当社の人材面の強み
・経営者の○○力
・当社の後継者について
・当社の営業力
・当社の機械設備の強み
・当社の仕入の強み
・販売ルートの強み
・当社と取引先の関係性
・協力会社の強み
・培ってきたノウハウ
・当社の顧客リスト
・マニュアルによる業務効率化
・地域ナンバー1の○○
上記は見出しの一例であって、他にもいろいろな見出しが考えられると思います。
企業ごとに適したものが違うと思いますので参考にして計画書を作成に役立てていただければと思います。
取組内容の記載
経営方針・目標と今後のプラン以降には今回の補助事業で行うことを書いていきます。
書き方は自由ですが、ここでは【経営方針・目標】と【今後のプラン】で見出しを立てて書く方法を説明します。
経営方針・目標は、例えば、飲食店が新たにテイクアウトビジネスで販路開拓をする場合、テイクアウトの本格展開をすることが経営方針で、テイクアウトの売上を伸ばすことが目標になるはずです。
今後のプランでは、経営方針と目標を達成するためにいつ・何をするかを簡潔に記載していきます。
例えば、テイクアウトビジネスで販路開拓する場合は、以下のようなプランが考えられます。
①テイクアウト用○○の導入(○月発注~○月納品)
②HPやSNSでテイクアウト情報を発信(○月にHP改修、SNSは継続的な情報発信を行う)
③テイクアウトのチラシ作成・配布(○月発注~○月納品・配布開始)
いつ行うのか、の部分はガントチャート等のスケジュール表を作るのも良いでしょう。
補助事業計画の作成
①補助事業で行う事業名
続いて補助事業計画の作成を行います。
最初に「1.補助事業で行う事業名【必須記入】(30 文字以内で記入すること)」という項目がありますが、こちらは持続化補助金のホームページで過去の採択者を見ることが出来るので、こちらを参考にして審査員に今回の取組が分かるような事業名を考えていただければよいと思います。
②販路開拓等(生産性向上)の取組内容
次に「2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容【必須記入】(販路開拓等の取組内容を記入すること)」を作成するのですが、こちらには前述の今後のプランに記載した内容を詳しく書いていきます。
今後のプランに記載した内容を見出しにして、内容を文章と写真や図で表現すれば取組内容が伝わりやすいと思います。
取組内容を書く上でのポイントなのですが、この後に補助事業の効果を記載する欄が出てきます。
そのため販路開拓等(生産性向上)の取組内容の欄には効果は書かずに取組内容と見込みやねらいまでの記載にとどめるようにした方が良いでしょう。
こちらに効果まで書いてしまう人が非常に多いのですが、それをすると後に出てくる補助事業の効果に同じ文章を書くことになり、冗長な計画書が出来上がってしまいます。
冗長な計画書でも取組内容が良ければ十分採択されますが、より分かりやすい計画書にするためには、強調したい部分以外のダブりは少しでも少ない方が良いと思います。
③業務効率化(生産性向上)の取組内容
「業務効率化(生産性向上)の取組内容【任意記入】」については、販路開拓とあわせて行う業務効率化(生産性向上)の取組を行う場合には記載を行うようにしましょう。
こちらも取組内容と見込みやねらいまでの記載にとどめて、効果は後述するようにします。
④補助事業の効果
最後に今回の補助事業で得られる効果について記載します。
効果は定性面(数字で表さない表現)と定量面(数字で表現)の両面で記載すると良いでしょう。
定性面では例えば、飲食店のテイクアウトビジネスの本格展開の場合、HPやSNSでの情報発信やチラシを配布することでテイクアウトの認知度向上による販路開拓の効果が期待できると思います。
またテイクアウトで新たな売上が獲得できることで、新たな売上が創出できることも効果として記載できますよね。
ここでもそれぞれの取組ごとに見出しを付けて、効果を説明すると分かりやすい計画書になると思います。
定量面は、具体的な数値目標などを記載します。
例えば以下のようなパターンが考えられます。
テイクアウトの売上増加目標
平日の売上目標=平日の件数20件×客単価900円=18,000円/日
土日祝日の売上目標=土日祝日の件数30件×客単価1,000=30,000円/日
月の売上目標=平日16日×18,000+土日祝日10日×30,000=588,000円/月
年間の売上目標=月の売上588,000円×12カ月=7,056,000円/年
他にも業種によっていろいろな表現の方法があると思いますので、上記を参考にしつつ自社にあった数値目標を作成してみてください。
最後に
いかがだったでしょうか?
補助金の計画書作成は大変ですが、補助金をもらう以外に自社経営を分析して見直す効果も期待できます。
大変かもしれませんが商工会議所・商工会の助言や今回の記事を参考にしながら、持続化補助金の計画書作成に挑戦して、より良い経営につなげていただければと思います。