創業計画を作成することの大切さ

初心者 コンサルティング

今回の記事はこれから独立開業しようという方や、これから独立開業の相談業務を受ける方向けの内容となっています。

僕は公的な相談窓口で独立開業の相談などにも乗ったりしているのですが、多くの場合でとりあえず創業計画書を作りましょうと説明しています。

これは創業時に日本政策金融公庫から融資を受ける場合は、創業計画書を提出する必要があるので必ず作らないといけないものなのですが、お金を借りなくても良い場合も同様に計画を策定したほうが良いとアドバイスしています。

なぜ創業時に計画を立てる必要があるのか?

今回は計画書作成の必要性をご説明できればと思います。

【創業計画書ってどんなもの?】

今回は日本政策公庫に融資を申し込む際に作成する創業計画書をもとに説明させていただきます。

日本政策金融公庫の創業計画書とは以下のようなもので、創業の動機から数値計画まで様々な内容を簡潔に書くように出来ています。

創業計画書

創業計画書は以下の日本政策金融公庫のHPからエクセルファイルをダウンロードすることができます。

各種書式ダウンロード|国民生活事業|日本政策金融公庫
日本政策金融公庫(略称:「日本公庫」)の...

参考資料の「創業の手引き」には記載例なども載っていますので活用していただければと思います。

【創業計画書策定のメリット】

⑴日本政策金融公庫の創業融資に申し込める

こちらについては、その他多くのサイトで紹介されているので簡単な記載にとどめますが、創業融資を受けるにあたって重要な部分は、

①これまで経歴を活かした創業か?
②セールスポイント等で独自性を発揮して他社と差別化を図れているか?
③創業に向けて自己資金をしっかりと準備しているか?

の3点を特に重視して見られますので、創業融資を申し込まれる方は、この3点は特に意識して創業計画書を作成していただければと思います。

⑵創業時のリスクを下げられる。

創業時の計画書策定のメリットとしては、創業時のリスクを下げられるという部分も大きいと思います。

創業計画書を作成すれば、作成する過程で創業した際に直面するリスクに事前に気付けることが多いです。

【事前に創業のリスクに気付けた具体的な事例】

 具体的な事例としてご紹介するのは、素材にこだわった安全安心なパンを皆さんに楽しんでもらいたいと考える創業者さんの例です。

 こちらの事業者さんは、サラリーマンの時と同じぐらいの収入で良いので、昔から夢だったパン屋さんをやっていきたいとのことでした。

創業計画書を作成していく中で、数値計画を作るときの話になります。

キタ
キタ

まず目標の売上を考えていきましょう。

商品の平均単価はいくらぐらいを考えられていますか?

創業者さん
創業者さん

気軽に食べてもらいたいので、100円~300円ぐらいにしたいと思っています。

なので200円ぐらいでしょうか?

キタ
キタ

では、そのパンを一日いくつ作ることが出来ますか?

 創業者さん
創業者さん

今、購入を考えているオーブンだと一日120個ぐらいが限度だと思います。

1人で作るので、それ以上になると難しいと思います。

キタ
キタ

分かりました。では月に何日お店をオープンされますか?

 創業者さん
創業者さん

週に2日休みがあればありがたいので、20日でしょうか。

キタ
キタ

では次に、原価率はどのぐらいを考えられていますか?

 創業者さん
創業者さん

試作品では50%を超えていましたが、仕入れる量を増やせばもう少し抑えられると思います。

でも、素材にはこだわりたいので、たぶん40%ぐらいはかかってしまうような気がします。

キタ
キタ

なるほどです。

最後にその他の経費なのですが、人件費や家賃、その他に係りそうな費用はどのようなものがありますか?

 創業者さん
創業者さん

人件費は自分一人なのでかからないです。

家賃は、立地は今一つですが格安の物件があったので、月に4万円です。

他にかかる経費は水道光熱費や通信費などで3万円ぐらいじゃないかと思います。

キタ
キタ

分かりました。その形で計画書に数字を入れていきましょう。

それで作った計画書の数字が以下のようになります。

数値計画
キタ
キタ

毎日売れ残りが発生しない場合に、月22万円ぐらいの利益が残る計算ですね。

この利益で生活費やその他に国民年金や国民健康保険料なども払っていくようになりますけど大丈夫そうですか?

 創業者さん
創業者さん

ちょっと厳しいですねぇ・・・

キタ
キタ

もう少し収入を増やすとしたら、値段設定を見直すか付加価値の高い商品を作るかして商品単価を上げるか、作れる個数を増やす工夫をする必要がありますね。

どちらにしても、しっかりと商品を販売していくためにプロモーション活動もしっかりと考えていかないといけないですね。

いかがでしょうか?

数値が出るまでは事業者さんもそれなりの収入が得られると思っていたようですが、実際に計算してみると思っていたよりも収入が少ないとのことでした。

これは数値計画を立ててみたことで初めて、自分の考えているよりも収入が少ないと気づけた事例です。

このように、頭だけで考えている計画を計画書として目に見える形にすることで、これまで気付かなかったことに気付けたりします。

計画書作成は面倒だと感じるかもしれませんが、創業してしまってからでは取り返しがつかないこともあります。

創業前には一度、創業計画書を作成して創業のリスクを最小限にしていただければと思います。

創業時以外の経営計画書作成の効果やメリットについては以下の記事も参考にしていただければと思います。

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