こんにちは!
中卒中小企業診断士のキタです。
今回は、数多くの相談業務を行ってきて感じている、経営コンサルタント(中小企業診断士)の相談業務のコツみたいなものをお伝えできればと思います。
皆さん、経営コンサルタント(中小企業診断士)の相談業務ってどんなイメージですか?
僕が最初に思っていたイメージは、相談に来た経営者さんに対してビシッと的確なアドバイスをして、それで相談に来た経営者さんの経営が良くなる。みたいなイメージでした。
こういったイメージを持たれている方は結構多いんじゃないかなと思います。
でも、このやり方は僕の場合はあまり上手くいってないんですよね。
【初相談業務の失敗談】
初めての相談業務での話です。
僕が初めて行った相談業務は、事業者さんの事前情報を少しだけいただいて、その事業者さんのお店を訪問して、相談を受けるというものでした。
僕は最善な提案をするために、事前に相談者さんの事業内容や事業環境をリサーチして、最善な提案ができる用意をする必要があると思っていたので、事前に内緒で相談者さんのお店のサービスを受けたりする等して、しっかりと準備した上で初の相談業務に挑んだんですね。
そして相談を受けて
「こうした方が良いですよ!」
と、僕なりにベストだと思う提案をしたところ、事業者さんに
「先生、ありがとうございます!」
と言ってもらえて、とても喜んでもらえました。
しかし、後日そのお店を訪れても、僕の提案した内容はお店に反映されてはいませんでした。
2年経った今でも、僕の提案はお店に反映されていません。
中小企業診断士の資格を取得する時に多くの人は実務補習というコンサルティングの研修のようなものに参加するのですが、これに参加された方は似たような経験をされた方も多いのではないでしょうか?
こちらが良いと思う提案をしたとしても、仮にそれが正論であったとしても経営者さんに、行動してもらえないと成果にはつながらないんですよね・・・
【行動してもらうためにはどうすればいい?】
事業者さんに行動してもらうために重要なことは、事業者さん自身にやりたいと思ってもらうことです。
やりたいと思ってもらうために有効な方法としては、コンサルタントが
「これをやった方が良いです!」
と提案するのではなく、事業者さん自身にやりたいと思うことを閃いてもらうことが効果的だと感じています。
事業者さん自身が閃くならコンサルタントはいらないのでは?
と思われるかもしれませんが、事業者さんがより良いアイデアを閃くためにサポートすることこそがコンサルタントの相談業務のキモなのではないかと思います。
ここで重要になるのが、こちらの考えを押し付けるのではなく、事業者さんにより良いアイデアを閃いてもらうために的確な質問が出来るかどうか。ここがコンサルタントとしての腕の見せ所かなと思います。
例えばSNSを使って集客したら効果的だと思った場合は
「今はSNSをつかってお客さんと関係性を築いたほうがいいですよ」
と提案するよりも、
「今はお客さんと関係性を気付くのが大切だと言われているんですけど、何かいい方法はないですかね?」
「インターネットとか使った方法とかでお客さんとコミュニケーション取ったりする方法とかって何かできないですかね?」
みたいな感じで、質問形式で事業者さん自身に気付いてもらえるように誘導するような質問が有効だと感じています。
そこでもし事業者さんから
「最近だとSNSとか流行ってるらしいけど、これって使えるんかな?」
みたいな発言が出たら、
「SNSいいですね!SNSでお客さんと良いコミュニケーション取っている成功事例は多くありますよ!」
みたいに後押しできれば、かなり実行してもらいやすいと思います。
これは、人に言われてやるのは抵抗があるけど、自分で思いついたことは抵抗が少なく実行できるという人間の心理を利用しています。
またそこにさらにプロのコンサルタントのお墨付きが付けば安心感も増して行動してもらいやすくなるという感じです。
【専門家が必ずしも正しいわけではない】
事業者さんの相談に乗ると、事業者さんが自信満々に言っていることでも、「それって本当にうまくいくのかなぁ?」みたいに思うことがあります。
その際に、
「それは上手くいかないと思います。」
と言い切ってしまえば、事業者さんはこの専門家は話が分からないやつだと思ってしまうかもしれません。
ここで大事だと思うことは、専門家側として、なぜうまくいかないと思うのかを論理的に解釈して、そこを疑問点として質問してみることが大切だと思っています。
例えば、
「値下げしてお客さんを集客しようと考えています」
という相談者者に対して、
「値下げしたら来てくれる人ってどのくらい増えるイメージですか?」
「値下げしたら本当にそれだけの人にきてもらえます?」
「そもそも、商圏内にそれだけの市場規模があるんでしょうか?」
「一度値下げしたら、値段戻すの大変ですけど大丈夫ですか?」
「値段を仮に○○円下げたら、1日○○人以上お客さんが増えないと今までよりも利益が残らないと思うんですけど大丈夫ですか?」
などいろいろこちらが疑問に思うことを聞いてみます。
事業者さんが安易な値下げを考えている場合でしたら、的確な質問が出来れば自分で考えていただいて新たな気づきを得てくれるかもしれません。
事業者さんの方にしっかりとした考えがあれば、
「値下げは目玉商品だけで、他の部分は高付加価値な提案をして客単価自体は上げていくイメージなんです」
とか
「来ていただいたお客さんに当店のECサイトを利用してもらうための宣伝をしようと思っているんです」
などの考えを聞かせてもらえるかもしれません。
このような形でコミュニケーションを行っていればどちらかというと専門家側の方が、これなら確かに上手くいきそうだなと納得させられることも多いです。
こちらが納得できれば、事業者さんと意見が一致してくるので、あとは専門家として
「それは是非やっていきましょう!」
と後押ししてあげられれば、事業者さんがより実行しやすくなるんだと思います。
【制度を知りたい人・利用したい人へのアドバイス】
コロナ禍の今は、補助金などの制度が多くなっているので、どちらかというと経営相談よりも補助金などの制度を知りたい、利用したいという人の方がかなり多い印象です。
制度を知りたい人は自分がお得になる制度を知って利用できればそれがベストですよね。
制度の利用に関しては、これは勉強して内容を把握しておかないと対応できないので事前に制度の勉強をしておかないといけないです。
公的制度の大枠を把握する程度の勉強は必須ですが、ある程度勉強しておけば、もし分からない制度を聞かれた場合でも中小企業が利用できる制度って割と他の制度と共通する部分が多いので、その場で調べて相談者さんに分かりやすく説明するだけでも喜ばれたりします。
そのため制度的な所は、そこまで深い所まで詳しくならなくてもいいのかなと思ったりもします。
補助金等の制度は計画書が必要になったりするので、計画書の作成支援は腕の見せ所だと思っています。
計画書作成の支援は、基本的には事業者さんが思っていることがしっかりと計画書に反映されているかどうかをヒアリングしながら確認していくのですが、ヒアリングで適切な質問が出来れば抜け落ちている考え方などを事業者さんに気づいてもらえたりします。
例えば
「補助金使ってHP作って、お客さんにもっと来てもらって売上を伸ばしたいです」
という事業者さんに対しては、
「お客さんはどうやってHPにアクセスしますか?」
とか
「どんな役割のHPにするんですか?」
などの質問をすれば、ターゲットに合わせた追加のプロモーション案を本人に考えてもらえて、より効果の出る取組になっていったりします。
補助金の計画書作成支援は補助金に採択(合格)されるように支援することが重要ではありますが、作成の過程を通じて事業者さん自身が今まで気づいていなかった新たな気づきを与えてより良い取組に磨き上げていくことがとても大切なことなのではないかなと思っています。
【まとめ】
いかがだったでしょうか、今回は僕が実際に相談業務を行っていて気づいたことや感じたこと等を書かせていただきました。
結論として、相談業務で重要なことは事業者さんに答えを提示するのではなく、しっかりとしたコミュニケーションを行い、的確な質問を行うことで気づきを得てもらうことで事業者さん自身に答えを見つけてもらうことが相談業務のキモになるように思います。
相談業務は色々人にビジネスの話を聞かせてもらえるのでとても面白い仕事です。
これから初めて経営コンサルタントとしての相談業務に挑む方や、経営コンサルタントを目指している方に相談業務のイメージをつかんでもらえたら幸いです。